体調を崩して療養中、昔なりたかった漫画家を目指そう！と思いたち漫画を描き始めました。
なのでスタートは人よりかなり遅いです。
色んな新人賞に応募しまくりましたが、荒波にもまれ挫折と絶望を経験し不貞腐れました。
運よく小さい賞を受賞し、読切が掲載されてデビューしました。

・連載としてネタが出し続けられるような話か（出オチ企画ではないか）。
・自分が好きなキャラ、ストーリー要素がちゃんと入っているか。
・本になったときを想像して、キャッチコピーがぱっと浮かぶような企画かどうか。

・読者が応援したいと思わせるような人間性を持っているか。
・自分が描いていて好きなタイプか（妹派の人がムリして姉キャラをヒロインにするようなことは危険です）。
・やりすぎかもと思うくらい極端な性格にするのもいいです。テストで学年1位じゃないとキレる自尊心高めの秀才男子とか、女性を前にすると喋れなくなる奥手男子とか、存在してるだけで話が転びそうなキャラにすると、物語の軸になってくれます。

・とにかく色んな本を読むこと。小説でも学術書でも漫画でも映画でもいいです。興味があったり面白そうと思ったら、何でも読むといいです。そうして蓄えた知識は大体99％が無駄になります。でも残りの1％が後々役に立ちます。興味が無くても流行りのものに目を通しておくのは大事だと思います。
・ハリウッドの脚本術の本などは一度読んでみるといいです。世の面白い漫画は、大体型通りの作りになっていると気付きます。

・この漫画はこういう話で、こういう方向に進んでいくんだな、と読者が漫画をどう楽しむのかわかるようにすること。
・読切として世に出しても大丈夫なくらい、話がオチまで完結してること。例えばバトル漫画だと主人公の活躍までちゃんと入れること。今は娯楽が世に溢れすぎてて、読者はパッと読んだだけで読み続けるかやめるか判断します。1話でカタルシスを出せるよう注意が必要です。

デビュー前の作家さんにアドバイスするとしたら、できるだけ沢山の編集者に担当についてもらうことです。
デビュー前の作家は編集者からは大体後回しにされます。
こちらとしては一刻も早くデビューしたいのにです。
「新人は担当についても殆ど連絡が途絶える」と以前編集者から愚痴を聞きました。
付き合いたてのカップルの如く速攻で返信すれば99％の新人はついてくるだろうと言いたいですが、そうも言ってられないのでしょう。
この不均衡により、SNSで編集への思いを綴った作家の叫びが散見される事態となります。
そうならないためにも、沢山の編集者とやり取りしてください。
そうすれば、たとえ返信を数週間、数ヶ月後回しにされても「いいのか？そんな返信が遅くて…こっちには後◯人担当がいるんだぞ？」と余裕を持って創作に打ち込めます。
そうすると、うまいことハマる編集者とも出会えます。
何より、沢山の相手とやり取りをすることで、色々な仕事のやり方があることに気づき、スキルアップにも繋がります。

初めの頃は賞にかすりもせず尊大な自尊心を打ち砕かれました。
世の全てを呪いたくなる気持ちはとてもわかります。
初めから全てがうまくいく人間なんてまずいません。
世に出ている素晴らしい作品を見て、何が面白いのか、どうすれば面白いのか汲み取り、自分が描きたいと思うものをどうすれば面白く描けるのか常に考え、へこたれずに一緒に頑張りましょう。

手癖で描いたり、3Dモデルをなぞっているだけでは上達しません。
わからない、描けないコマは必ず実際に自分でポーズを撮って見て描きましょう。
私はこれで本棚の上に置いたデジカメを床に落として破壊しました。
しかし面倒ですが、これが一番上達への近道だと思います。

天真爛漫だけど一途な金森さんと、素直になれないけど実は一途なユー君を見て欲しいです。
ちなみにこの二人は美男美女なうえお洒落なので作画に信じられない時間を要しています。
そこも見てもらえたら報われます！

・「人の婚約者に手ぇ出してんじゃねえよ」（第1話よりユー君のセリフ）
やだも〜！と全乙女がなるようにパワーを込めました。

・「ユー君のこと愛してるから、この気持ちに嘘はつけません」（第6話より金森さんのセリフ）
さらっと愛してるという言葉を言えてしまう金森さんの大人の余裕さが見せつけられます。

「自分よりも才能がある人間はまわりにたくさんいた、でもみんな映画を撮らなくなった、最後まで撮り続けた自分が残っただけだ」
有名な映画監督がこんな感じのことを言っていたのですが、私もこれを痛感しています。貶されて落とされて泣くほどつらくても、しぶとく残った自尊心と情熱を頼りに描き続けてください。描き続けた人間だけが生き残ります。