津ツカサ先生&有柚まさき先生の漫画創作Q＆A

Q.
プロの漫画家になるまでの経緯を教えてください。
(逆津) 当初の担当編集である平澤編集にオンライン持ち込みをしたのがきっかけです。
持ち込みの際に「連載会議に出さないか？」と言ってもらい、その作品が「DOCTOR PRICE」でした。ちなみにですが、少年誌向けのネーム原作賞に提出して落ちた作品でした。
(有柚) 広告会社でグラフィックデザイナーをしていましたが2019年に独立。その後フリーランスでデザインやイラストの仕事を受けていたのですが、同年秋に関西コミティアでマガジンの担当さんがついてくださったのを機に連載を目指すようになりました。
その後コロナ禍で仕事も減ったので漫画に打ち込むもボツ続きでどうしようかと思いつつもなんやかんや作品を発表していました。
そして2022年春に漫画アクションの編集さんから連載のお誘いをいただき今に至ります。実は逆津先生の“作画頼みたい作家リスト”の中に入れていただいていたらしく、大変光栄に思います...！
Q.
新しい企画を立てるときにまず何から考えますか？
(逆津) キャラクターです。
Q.
魅力的なキャラクターを作るために気を付けていることはありますか？
(逆津) このキャラクターはこういうキャラクターだよ、とナレーションなどで説明するのではなく、エピソードで見せるといいと思います。お笑い芸人さんのエピソードトークなどは特に役立つと思います。
Q.
ストーリー作りの練習のためにしていることや、しておいてよかったことはありますか？
(逆津) 幻冬社文庫さまの「ミステリーの書き方」という本の、乙一先生の項目がとても参考になり、ストーリー作りに役立つと思います。
また、「Filmmaker's Eye 映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方」という本も非常に参考になるので、おすすめです。
Q.
作画の時に気を付けていることや、こだわっていることがあれば教えてください。
(有柚) 読みやすさと人間らしさです。
前者はそのまま、読者さんがストレスなく読めるように、吹き出し、擬音の位置や構図を思案しています。
後者は、漫画のキャラといえど人間なので動きやリアクションを生き生きとさせるように留意しています。そのために自分でそのシーンを演技してみたり写真や動画をとったり、日々街の人たちを楽しく観察しています。
Q.
画力を上げるためのオススメの練習方法はありますか？
(有柚) 1年くらいほぼ毎日クロッキーをしました。最近は空き時間にする程度ですが...。
アニメーターさんの線の模写や人体の勉強などもしましたが、クロッキーが一番隙間時間にもできるし、目に見えて人体を描きやすくなり充実感があるのでおすすめです。
Q.
「第1話」のネームを作る時に何を一番大切にしていますか？
(逆津) キャラクターです。とにかく漫画はキャラクターだと思います。同じセリフであっても「何を言うか」ではなく「誰が言うか」を意識するのがおすすめです。
Q.
編集者との打ち合わせで心がけていることはありますか？
(逆津) 編集者さんの言うことは一旦受け入れるのがいいと思います。編集者さんも担当作家が売れなきゃ評価が上がらないので、真摯にアドバイスをしてくれる方がほとんどだと思います。
Q.
漫画賞や連載会議に通らなかったことはありますか？またそれをどのように切り抜けましたか？
(逆津) 「DOCTOR PRICE」は当初、読切で会議に出しました。ですが、作画担当がなかなか決まらなかったので、その間に2.3話目を作成しました。
そしたら、連載会議も通して頂けました。
諦めずコツコツやると良いことが待ってるんだなぁ、と感じました。僕はラッキーな人間だと思います。
(有柚) 自分は受賞歴が2020年にマガジンさんで奨励賞をいただいた1回きりでして、その後はネームすら通らない日々を過ごしていました。
ある日賞にとらわれるのがしんどくなり、このままだと漫画を描くのが嫌いになりそうだったので、自主制作作品をコミティアやSNSで発表しました。するといくつかの編集部の方にお声がけいただいたり、作品を好んでくださる方が増えました。
もやもやしたらクオリティは一旦置いて、なにがしか描き続けるのがいいのだろうな、と思います。
Q.
漫画を描いていて一番楽しい瞬間はいつですか？
(逆津) 作画担当の有柚先生に絵をつけて頂いた瞬間が1番楽しいです。
Q.
12月27日に発売された新刊「DOCTOR PRICE」3巻について、「ここを一番見てほしい！」というところを教えてください。
(逆津) 有柚先生の描かれる各キャラ達の表情がとても素敵なので、そこを一番に見て頂きたいです。
(有柚) 14話ラストの北見ちゃんです！
あと、宇宙猫化する夜長ちゃんと、髪を下ろしたのを初公開した鳴木さんです！！
Q.
12月27日に発売された新刊「DOCTOR PRICE」3巻について、一番好きなシーンやセリフを教えてください。
(逆津) 登場キャラの1人である北見さんがとてもかわいいので、注目してもらえると嬉しいです。最初はそんな気は無かったのですが、有柚先生の描かれる北見さんがかわいすぎて徐々に出演機会が増えてるように思います。
(有柚) 一番と言われてるのにまたも絞れないのですが、東京駅での北見親子のシーンも好きですし、コロナ編での夜長ちゃんの活躍も好きですし、二兎先生と二階堂さんの温泉街でのエピソードも好きです。逆津先生のお話が良いせいですね！
Q.
最後に、プロの漫画家を目指すにあたって一番大事なことを教えて下さい。
(逆津) できるまでやる、という覚悟を持つといいと思います。
(有柚) 最近漫画家になったばかりの自分が言うのも烏滸がましいのですが、言葉を選ばすに言うと「全てを資料だと思うこと」です。
漫画はどんなことでも活かせると思うので、経験できることはやっておいて損がないですし、日常の中でも写真など記録に残す意識を持つことも大事です。あとは意識的にいろーんな人と話すと自分にない知見を得られるのでとても良いです。