20歳くらいのときに、１年だけと期間を決めて少女誌に投稿していたのですが、デビューできなかったので一度諦めました。そこから何年も経って「やっぱりまた描いてみたいな」と思い、青年誌の新人賞に投稿したら担当編集が付き、その後受賞してデビューしました。

興味のある題材が決まっているときは、描きたいシーンが浮かんでくるのを待ちます。浮かんできたらそこに似合うキャラクターを作ります。
題材が何も決まっていないときは、今自分がどんな心境で、どんなキャラクターに出会いたいか？というところから考えます。

「自分がその人に出会って夢中になれるかどうか」ということを考えて作ります。運動神経が悪すぎるとか、本来は短所とされるような属性をつけると漫画のキャラクターにとっては魅力に変わると思います！
あとボケなのかツッコミなのかを先に決めておくと描きやすくなるので最近はそうしています。

一応、映画の脚本術の本を読んだこともあるんですが、「勉強しなくちゃ」と思うと本当に身が入らないタイプで…そういった理由で観た映画や読んだ本はほとんど内容を覚えていません。
結局、ネームを描いてボツを繰り返しながら「漫画を描くことに慣れる」ということが一番練習になりました。

「主人公がどんな人間で、これから何をする話なのか」を、できる限り自然にセリフや行動で説明することです。
“○○をするきっかけになる事件”が起こるようにしています。

わかりやすさ・読みやすさ・倫理的に問題がないかという部分は編集者の意見をなるべく聞くようにしています。
漫画を「おもしろくする」のではなく、「売りやすく、読みやすく整えていく」のが編集者の仕事なんだ！ と最近やっと気付きました。作品を作るうえで役割分担をしていると考えると、打ち合わせで緊張することがなくなりました。

連載会議に通らなかったときは、だいたい「“これは○○漫画です”と一言で説明できない」といった理由で落ちていたので、結局わかりやすさが商業作品においては重要なんだと思います。自分が描きたいことを一番シンプルな形で出したら通りやすくなった…ような気がします！

描きたかったシーンに辿り着いたときと、キャラクターの良い表情が描けたときです。女の子の色んな表情を描くのが好きで、「かわいいね～！」と原稿に向かって言っています。

大人になってから思い出す「青春」は、部活や学校行事だけでなく、名前のついていない、特別でない一瞬の出来事だったりします。そこを切り取って読者のみなさまにお届けできたらいいなと思っています。
直帰ちゃんと瞬くんの掛け合いを通して、毎日の帰り道を楽しんでいただきたいです！

4話の球技祭回で、直帰ちゃんが野球のことを「自分でサイコロ振らないすごろくみたいなものだろ？」と言ったシーンです。“ホームに帰る”という帰宅部ボケをかますために、このセリフが出てこなかったら話がオチなかったので…。

漫画家って才能だけで勝負する世界だと思っていたんですが、わりと「ちゃんと丁寧に描く」という当たり前のことが評価されたりします。
天才でなくても、漫画を描きたいと思っている時点で漫画家が天職だと思うので、あとはちゃんと丁寧に作品を描き続けていればきっとプロになっていると思います！